10/7(日):〜光州、木浦〜大邱 10  7 ): 〜 ,
To Daegu via Gwangju, Mokpo





イングランド決定、の裏でのもう一つの戦い

光州駅・待合室

 光州の駅には午前4時過ぎに到着した。とりあえず、終点でもあり、車内に車掌が巡回してきたので、荷物をまとめてそのまま改札へと飛び出した。人口140万程度の街の表玄関の割には駅舎は小さく、ほとんどの客はそのまま駅前の暗闇の中に消えていった。いつもなら、そのまま駅前をぶらついたり、観光案内用の地図を見たりするのだが、暗いのと寒い(おまけに、寝足りない・・・)ということで仕方なく駅に戻った。
 駅の建物に入っても寒いことに変わりはなく、少しでも暖かそうなところを探し回ったところ、改札口横にガラス戸で締め切った待合室があったので、結局そこに落ち着いた。改札広場に向かって長椅子が並び、その真ん中にテレビがあった。で、それはワールドカップのヨーロッパ予選、グループ9の最終戦を映していた。対戦国はイングランドとギリシャ。このときイングランドは予選突破まであと少しという状況だった。
 韓国の言葉で放送しているので、周りの人は分かっていたし、サッカー用語は英語のまま使われているものも多かったので、ワタシも大部分は何を言っているのか理解できた。それに何より、元々が現地の映像なので、字幕などは英語そのままだった。周りの客もプレーに対して一挙手一投足するわけでもなくひたすら静かに見守っていた。2人を除いては・・・。
 50歳ぐらいの小柄なおじさんと、30ぐらいの長身のおじさん(両方「おじさん」というのもおかしいな・・・。ということで、後者は「若いの」にしましょう)が、このハナシの主役。おじさんは、前の席のほうでテレビを見ていた。若いのがおじさんに掴み掛かるのだが、その前兆として何があったのかはよくわからない。おそらく、口喧嘩だったのだと思う。ただ、このおじさんが只者ではなく、結局簡単に成敗してしまう。若いのも、いったん外へ出て行くが、再び戻ってきたりもする。何度か繰り返すうち、外から空き缶や竹箒を持ってくるようになった。一度は駅員が来て治まりをみせるも、なんどかするうちに警官らしき人に取り押さえられ連行された。おじさんも参考人といった感じで後ろから付いて行った。
 このあいだ、誰も止めないから不思議である。「止める必要のない喧嘩」をしていたのか、それとも「イングランドの成り行き」が気になっていたのか。ちなみにこのとき、ワールドカップの組分け抽選会は開かれていないので、結果次第で韓国や日本のどちらかが「フーリガンがやって来る!」と言って色めき立つことはない。(結局、日本にお来しになることが決まりました・・・)。

光州 《Gwangju》

 韓国南西部、全羅南道に囲まれている、光州広域市は人口が100万人を超え、この辺りの中心都市となっている。ワールドカップの開催地でありながら、本拠地とするチームはなく、どちらかというとヘテ・タイガースのある野球の方が人気があるらしい。

 光州広域市 [J]
 「学問の街、芸術の街、味の都」というのをこの目で確認するには、朝が早すぎた。
 一応駅前をふらついてみようとも思ったが、目印となるような灯りを放っているものもなく、真夏用の着る物しか持っていなかったワタシには寒かった。とりあえず2時間近くは待合室でテレビを見たりしながら時間をつぶしていたが、改札口上にある乗り場案内の表示に始発の普通列車の木浦行きというのを見つけたとき、「とりあえず、行ってみようか」という気になった。ただ、初めて「トンイル号」を使うことになるので乗り方がわからず、窓口に行ってKOREA RAIL PASSを見せながら「木浦(モッポ)」といっても、「2500」といわれるだけで、結局全額払わされてしまった。しかも、寝起きだったからなのか、イングランドがワールドカップを決めて興奮していたからなのか、この2,500Wがえらい高額に思えていた。だけど、全国乗り放題のチケットを持っている以上、実際には払う必要はなかったらしかった。

光州発の始発列車

06:45(光州) 08:28(木浦) 81.5km
 一応光州駅を最初に出る列車だが、乗り場案内の表示を見ても、10本ぐらい一度に表示できるのだが、それだけで午前中の便が事足りてしまう。100万都市の玄関口の駅にしてはいささか寂しい。近年、線路を付け替えて街の南側を通ることができるようになり、北部にある光州駅がただの終点に成り下がってしまったという事情もあるが、やっぱり少ない気がする。
 さすがに外は明るくなっていたが、もやがかかっていたので遠くまでは見渡せなかった。しばらくは家並みのあいだを走って、すぐに畑と薮の中を走るようになり、少し遠くに高層住宅の集まっている団地がぽつぽつとある程度になった。15分ほど走って、街の西側の松汀里駅で木浦へ向かう湖南線と合流する。そこからはひたすら田舎という雰囲気の所を木浦まで南下するあいだ、たまに線路沿いで工事をしていた。終点に近付くにつれて、駅を大規模に作り直しているところもあったので、線路ごとリニューアルしようとしていたのかもしれない。と、いかにも、全部見たように書いているが、途中はもちろん寝ていた。窓ガラスには、頭と顔をくっつけていた跡までできていた。

木浦 《Mokp'o》

 光州から南へさらに70キロ。韓国、というより朝鮮半島の南西のスミの街。海割れで有名な珍島(Jindo)や多島海国立公園のある羅州群島への玄関口でもある。

 木浦市 [E][K]
 木浦は港町、らしい。というのも、実際に海を見なかったので、いまいち実感が湧かない。とはいっても、大規模な造船をしているわけでもなく、大規模漁業の基地という意味でもないらしい。朝鮮半島の南西端にあるため、NHKの気象通報でもよく聞く地名だったためか、何だか馴染みのある街である。ソウルからの直通夜行列車も、光州行きが1本しかないのに対し3本もあるところが都会を想像させたが、行ってみると「何故?」というほど格差があった。
 木浦の駅に着いたところで、とりあえず光州に戻る電車の時刻を確認したが、光州市西郊の松汀里までしか確認できないので、そこから市内バスに乗るよりも、木浦のバスターミナルまで行って市外バスで直接光州のバスターミナルに行くという手段をとることにした。とはいえ、さすがに8時半を過ぎるのに朝食も取っていないので、駅正面のコンビニへ。ところで、韓国の地方都市ではやたらと「ミニストップ」を見かける。ソウルとかの都会ではなかなか見当たらないのに、地方に出るとやたら要所に「ミニストップ」がある。そういう市場戦略なのか?
 駅前からは市内バスというのに久しぶりに乗った。正直なところ、4年前に釜山で乗って以来だった。 乗るときに、1,000W払えといわれたので、倍の運賃だけどデラックスで停留所も少ない優等バスだと思っていたけども、降りる間際になって一般バスということに気付いた。1,000Wだけ払わせておいて、釣の450Wを出すのが面倒だったのだろうか。


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木浦の駅と、その周辺

もう一度、光州へ

光州・高速バスターミナル

 木浦のバスターミナルでは、簡単に光州行きのチケット売り場を発見し、その場で購入し、すぐにバスに乗り込んだ。コンビニで買ったパンにやっと口をつけることがきるころには、車内は満席になっていて間もなく出発した。
 しばらくは高速道路を走っていたが、半ばで一般道に下り、ところどころで乗客を降ろしながら田舎道を走っていた。車窓が都会っぽくなってきてからもしばらくは、右折・左折を繰り返し、やっとのことで巨大な倉庫というか、整備工場というか、コンクリート張りの広場に到着した。
 光州のバスターミナルは非常に広く、隣接してあったデパート(6階建て)もただの倉庫程度にしか見えないほど小さかった。ここからそのままバスに乗ってしまうと、光州にはただの乗換のためだけ(しかも1日に2回)に寄ったことにしかならないので、とりあえずバスセンターを離れて繁華街の方へ歩いてみた。
Bus Ticket from Guangju to Daegu  現在唯一の地下鉄が通る(はずの)道まで出たところ、まだ駅に降りる階段を掘り始めているという状態だったので、「地下鉄に乗って、中心部まで行ってみようか」という希望も完全に打ち砕かれ、とぼとぼといま来た道を引き返した。ワールドカップ本番まで残すところ1年を切ってこの状態なので、本当に間に合うのかどうかと先が思いやられる。結局何の見所もなくバスターミナルに引き返し、これ以上光州にとどまる用事もなくなったのでチケットを購入する。乗り場も一度に50台ぐらい停まれるぐらい大きく、下手な地方空港顔負けの広さなのだが、行き先の種類も多い分、チケット売り場の窓口も多い。しかも、地名以外のハングルは読めない(というより、読んでも意味がとれない)ので、一つ一つ行き先を確認して窓口を探す。遠くの大都市域ならいいものの、近くの(なかには遠くもあるのかもしれないが)小都市行きはそれがどこなのかも全く分からない。結局入口から一番遠い辺りに窓口を見付け、意外と簡単に購入する。ただ、出発まで40分と微妙な時間しか残らなかったので建物内の散歩だけにとどめ、着いてから昼食をとることにした。

大邱 《Daegu》

 大邱広域市はソウルと釜山を結ぶ交通の幹線上のかなり釜山寄りに位置し、仁川と並んで国内では3番目に大きな街である。らしいのだが、これといって有名なものがないので、今まで「大邱に行ってきました!」という話を聞いたことがない。日本でいうと、さしあたり名古屋といったところでしょうか。国鉄の京釜線や、京釜高速道路・建設中の新幹線がとおり、空港からは関西空港への経由便もある。ワールドカップの開催地でもあるのだが、やはりいまいち日本での知名度は低い。自分としても、とりあえず泊まってまでして行ってみたいと思っていたし、機会があればもう一度行ってみようと思う割には、人に勧めるだけの押しの一手が見つからない。

 大邱広域市 [E][J][K]
 大邱へのバスは盆地の南西から入り、市街地の北側を周りながら、東部にあるバスターミナルへ到着した。高架を走ることが多かったため、だいたいの街のイメージはつかめた。海がないため港もなく、大きな工場も見当たらず、その割に郊外には高層アパートの集まっている団地がちらほらとある程度で。
 バスターミナル1つだけでも混雑するのに、ここにはもう1つの大きなターミナルと駅が隣接していたのでかなりごった返していた。が、地下鉄の駅はただ大きいだけで閑散としていた。またいつものごとく最少額の定額券を購入し、旅館に近い「中央路」駅に向かった。
 中心部の「中央路」駅で下車し、狭く歩行者天国になっている路地を買い物客をかき分けながら突き進み、予約していた旅館へと向かった。

大邱の夜

 宿にたどり着いた時間も遅く16時ごろだったが、翌朝は起きてすぐチェックアウトしないと、夜までに釜山までいけなくなるので、今日のうちに大邱の街を見ておく必要があった。とはいっても、旅館近辺は繁華街なので、夜まで人通りがあるし、地下鉄の駅までそんなに遠いことはない。食事も遅い昼食を済ませたばかりなので、荷物をすべて置いて、市内へと繰り出した。
 「中央路」駅まで出て、路線図の案内板を見て、「何となく」もう一つの市街地だろう、と思った「聖堂モッ」駅に行くことにした。というのも、駅前に「西部バスターミナル」があり、光州からのバスが場合によってはこちらに到着していたかもしれなかったからあらかじめ下調べをしておいたからだった。到着してみると、こちらのバスターミナルのほうがどちらかというと近距離用のためか、雑貨屋や軽食の店が多く、屋台も多く出ていて地元密着といった感じがあった。しばらくはこの周りを散歩して、最後にバス乗り場の切符売り場に行って「光州」行きの運賃とかを調べようと思ったが、それ以前に知っている地名すらも見つけることができなかった。ここで大丈夫だったのでしょうか。
 帰る途中に、「中央路」駅周辺の本屋に入ったり、いつの間にか全国展開するようになった、ファッションビルの「ミリオレ」に寄ったりと、貴重な大邱でのフリータイムを満喫(?)した。日も暮れて随分暗くなったのだが、旅館の周りの繁華街では昼間にも増して人通りが多くなり、いたるところが歩行者天国同然となっていた。逆に、夜はうるさくて眠れなくなるかと思うほど心配だった。

注1:イングランド、本戦出場のための条件

 このとき、ワールドカップ2002韓国・日本大会、ヨーロッパ予選「グループ9」ではドイツとともに勝ち点が17で並んでいた。1位ならば、無条件で本大会に進出、2位になったチームは別のグループの2位と本戦出場をかけてプレーオフを行うという仕組み。なので、勝敗については一概には言えないが、ほぼ同時刻で行われていたドイツが引き分けに終わっていたらしく、例え引き分けたとしても得失点差で進出が決まるという状況まで来ていた。2対2のまま試合終了が近付き、そして・・・。

 結局、イングランド、ドイツ、ともに本大会出場を決め、翌年日本でも「ベッカム」「(オリバー)カーン」の一大ブームが起きたのは有名なハナシ。


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